古い話を発掘。種です運命じゃありません。








 俺たちガモフ組の仲は悪く無いと思う。
 いや、
 どちらかと言えば「良い方」といえよう。
 年下のニコルを俺もイザークもからかいを含むが弟のように扱っているし、ニコルも俺たちに(それなりに)懐いてくれてる。
 
 ただしそれは、

「あいつが居ない時」

 の条件がいつのまにやら付いていた。



  +    +    +    +    +


「次は絶対に負けんっ!!」

 ビシッ、と音が付きそうなぐらい勢いよく指を向けてそりゃぁもうデカイ声で宣言するイザーク
 一応ココは食堂なんだから〜と、何度行っても聞かないし、コレもいつもの事なので俺は傍観を決め込む。言われたアスランも「又か……」といった風の困り顔。

 さっきまでやっていたモビルスーツのシュミレーション。いつもの訓練で、これまたいつものように、アスランに負けたイザークが恒例のように行う次回勝利予告。
 そして、

「ムリですよ。
 イザークですから」

 アスランの横から緑の髪の小悪魔(むしろデビル)が言葉を紡いだ。
 もちろん俺はニコルがそんな台詞を言う前に、こいつらから三列はなれたテープルに移動してある。


 そこが『戦場』になるからだ・・・・・・


  +    +    +    +    +


 ブチッと何かが切れる音。
 まあ、イザークが発信源なんだが。
「なんだと、ニコル貴様っ
 もう一回言ってみろっ!!」
「ムリですよ。
 イザークですから」

 サラリと笑顔で言ってのける。

「ニ〜コ〜ルゥ〜(怒)
 アスランの味方をするのかぁ!」
「ヤですねぇ
 僕は僕の味方ですよ☆」

 爽やかな笑顔で素晴らしく黒い事を言ってくれる。
 まあ、強い方の味方とかいって誰かさんの逆鱗突いたらどうしようかと思ってたが、取りあえず地雷は避けたようだ(これでか?) 

 しっかし、VSアスランだったはずが何時の間にやらニコルと対戦しているのに気付いているのかねぇ。

 さらに続く言葉の応酬はどう見てもイザークの分が悪い。が、それ以上に二人の間に挟まれて動く事の出来ないアスランがてとも可哀想に見えてくる。だからと言って助けになんか行かない。行けない。命はまだ惜しい。

 ただ、ただ
 俺じゃなくてよかった・・・・・・
 心底そう思う────



「何してんの?」


 明るいオレンジの髪を持つ同僚がいつの間にやら目の前に。ミゲルと一緒に昼食を取りに来たようだ。
 俺は数メートル先の喧噪を顎で指し、

「人間観察?」

 肩を竦めた。


  +    +    +    +    +


 なんであいつら三人寄ると仲悪いかな〜?


 あれだろ、あれ。とミゲルが言うには、
 曰く。

「数少ない友達を
 アスランに取られたくない。だろ」

 っ・・・・・・て数少ないって断言されてるしイザーク

イザークとニコルっ友達なのか?」
「・・・・・・それは流石に酷いと思うぜラスティ」

 あんまりな発言をするオレンジ頭の同僚に俺は思わず突っ込んだ。が、ラスティはさらなる発言をしてくれた。

「俺的にはさ
 ダイスキなアスラン
 ニコルがベタついてるんで
 焼き餅やいているイザーク。とかさ」


「「ぶっ─────っ
  ははははははははははっ」」

 俺とミゲルの笑い声が盛大に響いた。

「うらっそれすげーいいぞラスティ♪
 三角関係か。
 俺もそれに乗ったっ」

 涙を滲ませ笑うミゲルが、これ又素敵な発言をしてくれる。

「やめろよ、おまえら。
 そういうフィルターでしか
 あいつら見れなくなるじゃん」

 笑いながら言う俺の声には、勿論、説得力があるはずもなく・・・・・・
 あいつらの喧々囂々なBGMの中、さらに三角関係説がふくらんでいくのであった。







   前線でこんなことしてる俺等って
   意外と平和かもしなれいな・・・・・・